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No.6

ちまちまと書いている、強気受南くん(襲い受にも近いかもしれない)の、ちょぎにゃん。
きちんと書き上げて本になるといいね!


「よう、山姥切。出陣お疲れさん」
 先に本丸に戻ってきていたのは、南泉の部隊。あとから本丸に戻ってきたのは、長義の部隊だ。
「猫殺しくん……と、姫鶴一文字」
「ん。南くん、おれ先戻るから、あとよろしくね」
「わかったにゃっ!」
 姫鶴は手をひらひらとさせることでそれを挨拶とし、振り返ることもせず本丸邸へと向かっていく。
 同様に長義の部隊にいた刀たちも諸々の確認を終えるなり先に戻っていると告げて行ってしまう。
 南泉と長義は同じ所蔵元なこともあるからか、周りもなにかと気を回すことが多い。確実になにかをわかっていての気の回されかたをするときもあるが、そこは触れてこないものをあえて触れることはしない。
 つまりは、そういうことだ。

「猫殺しくんは遠征だったのか?」
「そっ。次の出陣に向けた、調査遠征」
「だから君たちはきれいなままなわけだ」
「お前はきれいな顔に傷付けてきたな」
 長義の顎下には、明らかな切り傷ができている。その部分を南泉は躊躇いなく指先で触れる。
「かすり傷だ」
「だろうにゃ~」
 出陣してまったくの無傷でいられることのほうが少ない。重症は負わなくとも、軽症に満たない軽い傷を負うことはある。刀剣男士は人とは違う。ゆえに傷は自然に治ることはない。手入れ部屋に入らないと治らない。
 だがこの本丸の刀剣男士たちは誰がどう見ても手入れ部屋に入らねばならぬような怪我ではない限り、手入れ部屋には行かない。つまり長義もかすり傷を負っているが、手入れ部屋には行かない。
 誰もがこの程度で――というような矜持を持っているのだ。
 それは南泉とて同じこと。
 なのでかすり傷で手入れ部屋に行かないことをどうこう言ったりはしない。
 それを利用することは、言ったりはするのだけれど。
「なあオレにもっと傷付けさせてくれよ」
「その発言、かなり不穏だな」
 南泉の発言にどういう意図があるのかなんて、長義も理解している。理解していて、わざとそうやって返してきたのだろう。やられたらやり返す、なんならやられる前にやれとばかりの発言が続いたのだから。
「だが俺のほうが君のことを傷付けてしまうかもしれないけどね?」
「なら、勝負、だにゃ」
 お互いに負けるつもりなどない、勝つつもりしかない、勝負をしよう。
畳む

散文