No.4, No.3, No.2, No.1[4件]
診断メーカーのお題で書いて、過去にSNSにあげたものに加筆修正したもの。
次回あたりに本に纏めるうちのひとつ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「君を守りたいんだ」
重ねられた手のひら。指の間からしっかりと握り締められる。
しっかり、というより、強い痛みをもってして、握り締められる。
「いてぇてよ……」
南泉は抗議の声をあげはするが、その声は聞き入れられない。ようは軽やかに無視されている、ということ。
「長義、聞こえてんだろ」
普段は山姥切、そう呼んでいる。だがこういうとき、南泉は彼を長義、と呼ぶ。それが特別な呼び方であることを示すために。
「聞こえてるよ、南泉……」
また同じように、山姥切も南泉、と呼ぶ。普段のからかうような、山姥切長義しか呼ばない呼び方で呼ぶのではなく、南泉一文字の名前をしっかりと呼ぶ。
この状態は限りなく睦まじくあることを物語っているが、場の空気は睦まじさをもってしても、居心地の悪い、微妙なものである。
「オレはいてぇって言ってるんだよ。聞こえてるなら、離せよ」
頬をぷっくりと膨らませ、唇をつんと尖らせ、今度は要望をしっかりと伝える。
「断る」
しかし長義は迷うことなく、即答で南泉の要望を断ち切る。
「にゃんでだよ……!」
「そんなの離したくないからに決まってるだろ」
唇の口角をあげた、艶やかな笑みで、長義は臆面もなく言葉を紡ぐ。
「離したくないし、なにより俺は君のことを守りたいんだよ」
「お前はまたそれかよ……」
南泉はため息混じりに加え、呆れた調子で、肩を落としながら、またか、とばかりの言葉を吐き出す。
長義はことあるごとに、南泉を守りたいと言う。肌を重ね合わせるたび、それはもう口癖のように。
「オレはお前に守られたいなんて微塵も考えてねえ、にゃっ!」
握り締められた手のひらを今度は南泉が強く握り締め返す。
「猫殺しくんも、いつもこれだ……」
長義は長義で肩をすくめ、やれやれと言わんばかりの表情を浮かべる。
畳む
次回あたりに本に纏めるうちのひとつ。
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「君を守りたいんだ」
重ねられた手のひら。指の間からしっかりと握り締められる。
しっかり、というより、強い痛みをもってして、握り締められる。
「いてぇてよ……」
南泉は抗議の声をあげはするが、その声は聞き入れられない。ようは軽やかに無視されている、ということ。
「長義、聞こえてんだろ」
普段は山姥切、そう呼んでいる。だがこういうとき、南泉は彼を長義、と呼ぶ。それが特別な呼び方であることを示すために。
「聞こえてるよ、南泉……」
また同じように、山姥切も南泉、と呼ぶ。普段のからかうような、山姥切長義しか呼ばない呼び方で呼ぶのではなく、南泉一文字の名前をしっかりと呼ぶ。
この状態は限りなく睦まじくあることを物語っているが、場の空気は睦まじさをもってしても、居心地の悪い、微妙なものである。
「オレはいてぇって言ってるんだよ。聞こえてるなら、離せよ」
頬をぷっくりと膨らませ、唇をつんと尖らせ、今度は要望をしっかりと伝える。
「断る」
しかし長義は迷うことなく、即答で南泉の要望を断ち切る。
「にゃんでだよ……!」
「そんなの離したくないからに決まってるだろ」
唇の口角をあげた、艶やかな笑みで、長義は臆面もなく言葉を紡ぐ。
「離したくないし、なにより俺は君のことを守りたいんだよ」
「お前はまたそれかよ……」
南泉はため息混じりに加え、呆れた調子で、肩を落としながら、またか、とばかりの言葉を吐き出す。
長義はことあるごとに、南泉を守りたいと言う。肌を重ね合わせるたび、それはもう口癖のように。
「オレはお前に守られたいなんて微塵も考えてねえ、にゃっ!」
握り締められた手のひらを今度は南泉が強く握り締め返す。
「猫殺しくんも、いつもこれだ……」
長義は長義で肩をすくめ、やれやれと言わんばかりの表情を浮かべる。
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