#15:多彩がみせる星の戴き2

掲載内容
多彩がみせる星の戴き2
衝撃は空からだって降ってくる


 時の政府勤めの南泉一文字は、審神者によって励起される前の刀剣男士に人の身を得た際の生活における最低限の知識を教える部署に所属している。
 「生活における最低限の知識を教える」とは言うものの、顕現した際にはその刀にまつわる歴史や元の主に関する以外の記憶は消失されるので、教えることに意味があるのかどうかについておおいに疑問が生じているところではあるが、そこについてどうこう問えるだけの身分にはないので、従うしかないのが時の政府勤めの刀剣男士である。
 あらゆる物事は、相応の権力を持たなければなにも成し遂げられぬのだ。
 権力など一切持たぬ南泉は、上からの指示おとなしくに従い、この部署でふわふわとしながら任務遂行をしていた。
 そして今日も今日とて任務を遂行すべく、配属先の部署へと繰り出すのだ。

 刀剣男士にも様々なタイプがいるのだが、南泉は「刀猫男士」と呼ばれている刀剣男士の面倒をこの部署でみている。
 しかし刀猫男士は一般的な個体である刀剣男士とは違い、個性がだいぶ強い。あまりの個性の強さから、面倒をみる、というよりは、世話をしている、という言葉のほうがしっくりとくるのであった。
 託児所とか保育所とか、そういった言葉が当てはまるような、そういう環境なのだ。
 つまり子守をしている状態にほぼあてはまる。
 もちろんこのような状況下において、南泉たった一振で励起前の刀剣男士の面倒をみているわけではない。
 この部署は主に尾張徳川に縁のあった刀剣男士たちが配属されていた。





 刀猫男士たちは見た目と違わず、幼さがだいぶ目立つ存在である。
 そういう刀剣男士なんだといえばそれまでのことではあるが、面倒を見ている側の南泉からしたらその幼さにこれでもかというくらい振り回されることになるので、その幼さを前にして笑って過ごす、ということはなかなかに厳しいところ。
 とはいえ、面倒をみるのが仕事のひとつなので、どこかしらで「仕方ない」という言葉で片付けているところもあったりするもの。
 働くということは、すべてが思い通りになるものではないのだから、仕方ないのだ。
 ――などというようなことをぼんやりと考えたりしつつ、日々の業務として刀猫男士たちの面倒をみることに勤しんでいるわけである。